ちょっとぼやっとしていて、別れた奥さんに未練たらたら、娘さんに頭の上がらないおじさんなのに格闘の専門家で戦うとすごい。

大学の講師で保険の調査員で、もと軍隊の特殊部隊のスペシャリスト、夢は古代ヨーロッパの遺跡を発掘すること。というアンバランスな主人公。

なので物語の舞台も世界各地、砂漠から都会までバラエティーに富んでいる。

最初のうちは、手じかにあるスプーンや何やらを使いながら、凄腕の殺し屋と対戦してゆくその方法が興味深い。

しかし、読み進めるうちに、アクションシーンの面白さばかりでなく、人と人との結びつき、頑固なもの同士が紆余曲折の後にわかりあえたり、永い誤解が解けたり、そういうことで、しんみりした気持ちになる。

人と人との関わり合いがいろんなことを変えてゆく、そういうことがこの漫画の隠れたテーマのように思えてくる。

ユーモアとウィットと意外性にとんだ短編小説のような、最後にどんでん返しがあるストーリー、そして粋でカッコいいエンディング。

最終話が終わってしまうのが残念、もっともっと読みたい。

読み終えた時にそう思う漫画です。