多くの空想科学コミックを世に出した星野之宣が、古代の日本人のルーツを独自の見解で仕立てた大作「ヤマタイカ」。
ありがちな歴史ものとは一線を画し、現代と古代邪馬台国をつないだパラレルワールドで、奇想天外なストーリーを編み出すSF巨編コミックです。
設定はあくまでも現代、邪馬台国の卑弥呼の後継者が現れ、「オモイカネ」と呼ばれる銅鐸を使って、人知を超えた力を操り、ヤマタイカという火の民族の“祭り”を生じさせ、日本に混乱がもたらされます。
そこから、奈良の大仏や戦艦ヤマトなど、実在の歴史的な事物を絡めて、ダイナミックな日本の世直し物語が描かれるというものです。
実際の史実とは異なり、あくまでもフィクションとしての展開なのですが、その構成は緻密に練り上げられており、リアリティを感じさせる世界性に読み応え十分。
歴史の勉強にもなる知性派コミック、一読の価値ありです。